生活保護 自立支援の機能を高めよ

生活保護 自立支援の機能を高めよ

弱者救済と社会的公正をどう調和させるか。社会保障制度は不断に点検して見直さないと、持続せず行き詰まる。

 生活保護制度も同様だ。今年7月時点の全国の受給者数は205万人を超え、戦後の混乱期で過去最多だった1951年度を60年ぶりに上回った。

 国と自治体の負担は年間3兆4千億円に達し、自治体財政の大きな圧迫要因となってきた。不正事案が頻発するなど、一部では国民の不公平感を招いている。安易な給付抑制は問題だが、もっと受給者の自立や就労を促す方向へ、保護の基準や仕組みを見直す必要がある。

 生活保護受給者数は、戦後最低水準だった96年度から15年間で倍増した。家族や地域のケア機能が弱まっているとはいえ、ただならない事態である。

 理由は多々ある。低年金の単身高齢者の増加、景気停滞に伴う雇用環境の悪化、さらに生活保護申請に対する自治体窓口の対応の柔軟化も要因だろう。

 高齢化の加速は深刻だ。無年金や低年金で蓄えや家族の支援もないお年寄りが増え、受給世帯の43%を占める。今後も増え続けるのは間違いない。

 こうした高齢者の最低所得を年金で保障するのか生活保護で保障するのか、大きな問題だ。既に一部では、基礎年金より生活保護費が高いという逆転現象もある。政府が進める社会保障と税の一体改革の中で、早急に論議すべきである。

 また現金支給だけでなく、孤立を防いで自立を促す生活支援も欠かせまい。

 若者ら働き盛り世代の受給者増加は根が深い。働ける現役世代を中心とした「その他世帯」は、7月は約22万7400世帯と前年度より32%も急増した。

 なぜか。低賃金で身分が不安定な非正規労働者が増えている。不況による雇用打ち切りや失業の長期化も原因だ。

 ただ、仕事さえあれば働ける現役世代は、就労が難しい高齢者や傷病者とは条件が異なる。保護から抜け出して就労する努力を不断に怠ってはなるまい。

 政令市の市長会は一定期限を設けて自立を促す「有期保護」への制度改革を求めている。これは検討に値する。「働ける人はなるべく働いて自立する」のは社会の基本だ。そうでないと、苦労して働く納税者との社会的公正を損なう。

 就労支援の実効をどう挙げるか。自治体の福祉窓口やハローワーク、民間職業紹介機関、専門的なNPOも含め、よりきめ細かな連携で対応してほしい。

 10月から「求職者支援制度」がスタートした。月10万円の生活費支給と無料の職業訓練が受けられる。生活保護と就労をつなぐ制度として活用したい。

 生活保護については近年、地域格差や医療扶助を利用した不正ビジネス、不正受給などの問題も顕在化している。特に福岡県は昨年度の不正受給が2612件、約10億2700万円にも上る。

 不正の防止や摘発を徹底しないと、制度自体への不信感につながりかねない。


=引用:2011/11/16付 西日本新聞朝刊=

豊中市障がい者市民の会

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