生活保護制度 見直し論議は多角的に

生活保護の受給者が210万人に迫る勢いだ。政府、民主党は生活困窮者への支援策とともに、制度の見直しを検討している。最後の手段に頼るほかない人の増加にどう対応していくか、多角的な議論が必要だ。

 2月時点で209万7401人に上った。昨年7月から過去最多の更新が続いている。高齢者のほか、失業などを理由とした現役世代の増加が目立つ。長野県内は全国的に見て受給者の割合が低いものの、傾向は変わらない。

 政府による見直し論議は、受給者の自立支援拡大と不正受給への対策強化が柱だ。

 自立を後押しすることに異論はない。現役世代の受給は、2008年のリーマン・ショック以降に急増した。働ける人には、生活保護に頼らないで暮らしていけるよう支援を強める必要がある。

 政府は、受給者が働いて得た収入の一部に当たる額を積み立てておき、自立後に使えるようにする制度を検討している。

 雇用を確保することが前提になる。NPOとの連携を強めるなど受け皿を整えていく手だても併せて議論しなくてはならない。車を持っていると基本的に受給できないといった条件についても、見直していく余地がある。自立支援に当たるケースワーカーの十分な配置も鍵になる。

 不正受給を防ぐのは当然だ。医療費が全額公費で賄われる仕組みを悪用し、転売目的で向精神薬を入手するといった例がある。厚生労働省によると、10年度は過去最多の128億円だった。制度への不信感を広げないよう適切に対応しなくてはならない。

 一方で、生活保護制度だけを見直して済む問題ではない。

 保護は受けていないものの、生活に困っている人がいる。できるだけ早く相談し、就労支援などを受けられるようにすることが大事だ。ぎりぎりまで追い詰められてからでは解決が難しくなる。

 生活苦が広がる背景には、非正規雇用や低賃金の問題もある。引きこもりやニートといった問題も見過ごせない。雇用の安定化、若者への支援など、向き合わなければならない課題は多い。当座の対策とは別に、長期的な視点で取り組んでいく必要がある。

 厚労省は支給額の妥当性も検討している。同省の試算では、25年度の保護費は本年度の4割増の5兆2千億円になる。生存権を支える制度だ。財政が厳しいからといって、水準を引き下げて生活苦を広げることがあってはならない。

引用:2012年05月23日(水)信濃毎日新聞

豊中市障がい者市民の会

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